香川県土庄町の豊島に大量の産業廃棄物が不法投棄された問題で公害調停が成立して、6日で24年がたった。この日、滋賀県の中学生66人が、産廃を撤去した跡地や資料館を訪れ、廃棄物や自然環境について学んだ。
主催したのは認定NPO法人「瀬戸内オリーブ基金」。2000年の調停成立を機に設立され、豊島の教訓を次世代に伝え、美しいふるさとを引き継ぐ活動に取り組んでいる。
豊島を訪れたのは滋賀県草津市にある学校法人聖パウロ学園光泉カトリック中学校の1年生。5日に同校に出向いた同基金の職員らから豊島事件などについて約2時間講義を受けたうえで豊島を訪れた。
6日は廃棄物対策豊島住民会議メンバーの安岐正三さんらの案内で島内を巡った。資料館では、不法投棄された産廃の断面をはぎ取った標本のほか、住民運動の資料や年表、写真パネルなどの展示に見入った。
安岐さんは、産廃の不法投棄に苦しみ、県や国などを相手に闘い続けて調停を成立させた島民たちの運動を振り返り、生徒たちにこう説いた。
「自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の頭で考えて、自分の手足で行動する。そうしない限り、世の中は変わりません」
生徒の一人、長谷川蒼岳(そうた)さんは「自分が住民だったら諦めてしまうぐらい大きな規模で不法投棄があったのに、豊島の人たちは最後まで諦めずにみんなで協力し、元の豊島を取り戻そうとがんばったのがすごい」と感想を語った。
櫛田采花(ことは)さんは「こんなに多くの産廃が捨てられていたことを、今日来て初めて知りました」といい、「岩や砂や土がえぐられた跡が何十年たっても残っているのは、とても恐ろしい」と話した。(増田洋一)